ヨガの世界で知らない人はいない
「ヨーガ・スートラ」
という教典があります。
パタンジャリという聖人によって紀元前から綿々と受け継がれたヨーガを、紀元後4~6世紀頃に記述され完成されたといわれている教典です。
その中にヨガ哲学の基本的な教え
アシュタンガ=八支則(はっしそく)
という8つの段階・行法があります。
これは普段の生活で言葉や行いを注意深く正す8つの方法のことです。
最終目的となる8段階目は深い瞑想となっておりますが、
ヨガ的生き方には、日常から心得ることや考え方があります。
そして自分の内側を見つめ、体や呼吸に意識を向け、深い静かな精神を持ち、その先に瞑想と融合しておこる悟りの境地 、至福の喜びがあるとされています。
全てを理解し、習得するには経験やヨガの精神的資質を持った人との出会いも必要かもしれません。
しかし八支則の1.ヤマ、2.ニヤマに関してはどの人にも共通して大切なことなのではないでしょうか。
1.Yama(ヤマ):他人や物に対して守るべき行動。道徳的基本。
★Ahimsa(アヒムサ) 非暴力。肉体的暴力だけでなく、精神的、言葉の暴力なども振るわない。
★Satya(サティヤ)誠実であること。嘘をつかない、正直になる。
★Asteya(アステーヤ)盗まない。”他者から盗まない”だけでなく”必要以上の物を取らない”待たせたり、手間をかけさせたりする時間もです。
★Brahmacharya(ブラーマチャリヤ) 欲望に溺れない。精神的、肉体的な全ての快楽を求めない。
★Aparigraha(アパリグラハ) 物質欲にとらわれない、貪欲に物に執着しない。
2.Niyama(ニヤマ): 自分に対して守るべき行動。精神的に守ること。
★Shaucha (シャウチャ) 自分自身の内側と外側(体と心)を常に清潔に保つ。
★Santosha(サントーシャ) 必要以上の贅沢をしない。満足感を感じる。
★Tapas(タパス) 鍛錬すること。精神修行。努力を怠らない。
★Swadhyaya(スワディヤーヤ) 経典や自分自身に対する学びを深め、精神向上を行う。
★Ishvarapranidhana(イシュワラプラニダーナ) 感謝の念、献身的な気持ちをもつ。神への祈念。
3.Asana(アサナ): ヨガのポーズ。アサナと共に意識を体の内側に向けていく。瞑想への準備。
4.Pranayama(プラナヤマ): 呼吸と体、心を繋げることに意識を向けていく。
意識的な呼吸を行うことにより自身に活力を与える。
5.Pratyahara(プラティヤハラ): 感覚の制御。外からの注意を五感から引き離し安定した精神状態を保つ。
6.Dharana(ダラナ):集中。完全な自分自身の意識の安定、一点に留め動かさない。
7.Dhyana(ディヤナ):瞑想状態。対象物に集中することもなく、深い静かな精神でいられる状態。
8.Samadi(サマディ):深い瞑想と融合しておこる悟りの境地 。至福の喜び。
ヨガをすでにされている方なら、4段階目プラナヤマまでは実践できるかもしれませんが、8段階目のサマディまで至るにはなかなか理解・体得しにくいかもしれません。
まずはヤマ・ニヤマの中で自分が一番大切だと思うこと。心がけたいことを実践してみてはいかがでしょうか。
自分を見つめ直すきっかけとなり、心の重荷がすっと軽くなるころには、ヨガを通して気持ちよくアーサナ(ポーズ)がとれるようになるかもしれません。